リアショック 高圧窒素ガスの役割とメンテナンスの必要性!?
- 2017.05.29 Monday
- 17:49
Technixの井上です
多くのリアショックには高圧窒素ガスが入ってます。また、定期的なメンテナンスが必須なのです。
なぜ、定期的なメンテナンスが必要なのか・・・ガスの話を一例にご説明します
リアショックに貼ってあるステッカーを見ると、「高圧窒素ガス入り 危険」とか書いてあるのご覧になった方も多いと思います
(↓こんな感じに)
この「高圧窒素ガス入り」って、どういう事!?と思う方も多いと思います
また、弊社に良くあるお問い合せが、「ガスが抜けたから、ガスを入れて・・」と言うお問い合せをよく頂きます
まず、一般的なリアショックの内部ですが、オイル(当然ですが)とガス室に分かれています。
上の写真のショックで言えば、「WARNING」の上側辺りまでがオイル、下側がガスの部屋だと思って貰って結構です
仮に・・・「WARNING」の下側も含め、ショック内部が全部オイルだったらどうなると思いますか
答えは、ショックとして全く機能しません。と言うか、動きません・・ピストンロッドがダンパーボディーに入ることが出来きないのです
「WARNING」より下側の僅かなスペースにガス室が出来るだけで、ピストンロッドがダンパーボディーに入り、ストロークすることが出来るようになります。
理由は、オイルは圧縮することが出来ませんが、気体は圧縮することが出来るからです
ガス室がピストンロッドの体積分圧縮されて、ピストンロッドをダンパーボディー内に受け入れてくれるのです。
これが、ガス入りの最初の理由です
次は・・・このムービーご覧下さい
私たちは、ショック内部で何が起こっているか目で確認することが普通はできません
Technixの好奇心旺盛なスタッフ達は、何がそこで起きているのか目で見たくてみたくて仕方ないので、クリアのシリンダで実際にショックを動かして見ました
最初は高圧ガス入ってません。
ガスを入れずに、ショックを作動するとシリンダー内部が泡泡なのがわかると思います
これは、ピストン運動中にピストンの上下で負圧が発生し、オイル中に溶解している空気がオイルから引っ張り出されて起こる現象です。(オイルはそれ自体に数%の空気を持っており、ショックをエア抜きしてもその空気は無くなりません。)
そして、ガスを入れると一瞬で消えて無くなる事がわかると思います
これが、第2の理由です。ショック内部の圧力バランスを安定させて、オイルから空気が引っ張り出されることを抑えているのですね〜
この窒素ガス・・・長くショックを使っていると少しづつガス圧が低下してきます
そこで、「ガスが抜けたから、ガスを入れて・・」と言うお問い合せを頂くわけですが、抜けた窒素ガスどこに行くのでしょうか
これが答えです
そうです。ガスの多くは、オイル室とガス室の仕切から少しづつ、抜けてオイル室に入っていってしまうのです
抜けたからガスを入れても、オイルは泡泡・・・ダンパー本来のパフォーマンスはとても発揮できません
つまり、「ガスが抜けたからガス入れて・・」は意味がなく、ガスが抜けたら必ずメンテナンスが必要なのです。
また、ガス圧はフロントフォークの油面の調整の様にセッティングツールとしては一般的には使われません。
油面の様に奥での踏ん張りを持たせたいから、ガス圧高くと言う訳にはなかなか行かんのです
ガス圧の影響が最も現れるのは、ビギニングです。イメージだとスプリングのプリロードアジャスターの様なイメージです。
高くすれば、プリロードを張った様な感じに、低ければプリロードを抜いたような感じになります
走行中又は後に温度の影響でガス圧が高まり、リアが高く感じた経験のある方もいらっしゃると思います。それが、まさにガス圧の影響で、スプリングプリロードを掛けた様なイメージと言う意味合いなのがわかるケースだと思います
いずれにせよ、普通は調整箇所では無いので内部のプレッシャーバランスを損ねない為にもメーカー指定値が基本です
定期的な、オイル交換・メンテナンスが必要な理由わかって頂けましたか?
では、また